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鼻出血 |
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鼻・副鼻腔の手術後にもっとも多くみられる合併症です。
手術から数時間は、例えガーゼが入っていても出血する可能性があります。術後半日を過ぎると出血のリスクは大幅に減少します。しかし、遅発性出血と呼ばれる術後2週前後に、もう一度出血をきたしやすい時期があります。
術後にできた創面を覆うかさぶたが脱落し、新しい組織に置き換わる時期に一致します。出血のリスクを低くするためには、この時期の激しい運動などはできるだけ控えてください。術後4週過ぎると粘膜の修復はほぼ完了し、出血の可能性もほぼ消失します。 |
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“におい”(嗅覚)の障害 |
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鼻腔の天井には"嗅粘膜"と呼ばれる場所があり、そこに嗅覚神経の末端がびっしり並んでいます。においを感じるためには、副鼻腔内側の壁(上および中鼻甲介)と鼻中隔との間に、空気が通るすき間が開いていることが必要です。
鼻の手術後には操作部位周辺の粘膜が腫脹するため、嗅粘膜への空気の流れが一時的に遮断され、嗅覚が低下することがあります。多くは一過性で自然に回復しますが、薬の内服、またごくまれに手術が必要になることがあります。
手術前から"におい"の感覚が失われている場合、また嗅裂自体にポリープなどの病変を形成しやすい難治性の副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔)などの場合は、例え手術を行っても嗅覚をとりもどすことが困難なことが少なくありません。 |
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急性副鼻腔炎 |
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副鼻腔(顔面の骨の中に形成されている空洞)の一つ一つは、空気を取り入れるための交通路(狭い隙間)を持っています。この交通路が正常に機能していれば、副鼻腔も正常な状態を維持することができるわけですが、交通路の粘膜が腫脹すると副鼻腔への空気の出入りが妨げられ、副鼻腔に炎症をきたします。鼻の手術後には、操作部位周辺の粘膜が一時的に腫脹するため、操作を加えていない副鼻腔交通路が閉鎖し、急性の炎症をきたす可能性があります。
多くは一過性で1~2ヶ月で自然に治りますが、薬の内服や、まれに交通路を拡大するための追加手術が必要となることがあります。 |
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上あご(口蓋)のしびれ感 |
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鼻中隔手術や後鼻神経切断術後にみられる合併症です。口蓋前半部の知覚神経は、鼻中隔下部の粘膜下を走行し、鼻腔の最前部から口蓋に入り込んでいます(1)。このため鼻中隔下部の骨に操作を加える場合には、ほぼ必発します。
また口蓋後半部の知覚神経は、通常では鼻腔後方で骨の中を走行し、口蓋に入り込んでいます(2)。この神経を包んでいる骨が薄いと、後鼻神経切断術における粘膜切開の際に、神経が損傷を受けてしまうことがあります。いずれの場合も機能的な問題は少なく、多くは数ヶ月以内に自然に回復します。 |
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鼻中隔穿孔 |
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鼻中隔手術後にみられる合併症です。弯曲した骨や軟骨を除去した部位の粘膜に十分な血液が供給されない場合に一部の組織が壊死をおこし、孔があいて左右の鼻腔が交通した状態となることを指します。
手術の際に、保存する粘膜に広範なダメージが加わった場合に起きやすいのですが、術後の粘膜が正常に保存されているにもかかわらず数週後に穿孔をきたす場合も認められます。文献的には数%の頻度で生じることが知られています。
機能的な問題を起こすことはほとんどありません。また外見上の変化をきたすこともありません。
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鼻中隔血腫、膿瘍、外鼻の変形(鞍鼻) |
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いずれも鼻中隔手術に伴う合併症です。鼻中隔粘膜の下に血液が貯留した状態が鼻中隔血腫で、手術から数日以内に見られます。血腫に細菌感染をきたしたものが膿瘍です。
膿瘍になると鼻中隔軟骨が吸収されるため、鞍鼻と呼ばれる外鼻の変形をきたすことがあります。とくに抗生剤に抵抗するMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)や緑膿菌などが術前から鼻の粘膜に常在している場合は、膿瘍のリスクが高まります。
また鞍鼻は、鼻中隔軟骨を過度に取り除いた場合にも生じる可能性があります。とくに外鼻の支柱として重要な鼻中隔軟骨の前縁部が弯曲している場合は、外鼻変形のリスクが高まります。高度な外鼻変形をきたした場合には、形成外科的な手術が必要になります。 |
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眼球運動障害・視力障害・脳損傷 |
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副鼻腔手術の際にみられる最も重篤な合併症です。副鼻腔の中でも、両眼の間にある蜂の巣のような構造をした「篩骨洞」は、紙のように薄い骨の壁で眼と(紙様板)、また脳と分けられています。
手術時にこの壁を損傷すると、眼を動かす筋肉、視神経、あるいは脳を傷つけ、眼球の運動障害、失明、あるいは傷害された脳の機能障害をきたすことがあります。
副鼻腔の病変が高度な場合またもともと骨の壁が欠損している場合には、リスクの高い難しい手術となり、術者の技術レベルが大きく影響します。
決してまれな合併症ではなく、米国および日本の保険会社から出された最近の調査結果では医療過誤としては耳鼻科診療の中で最多とされています。
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トキシックショック症候群 |
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トキシックショック症候群とは、黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって引き起こされる全身性の中毒です。
この毒素は菌の増殖時に産生されますので、鼻腔に黄色ブドウ球菌が常在している場合、とくに通常用いられる抗生剤に耐性を示すMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)が存在している場合には、鼻・副鼻腔手術後の細菌増殖に伴って本症候群が発生する可能性が増加します。
術後数日経過後に、急に高熱、顔面痛、および頭痛などが出現した場合は、要注意です。きわめてまれですが、治療が遅れると致死的な状態になる危険性があり、早期の診断と治療が大切です。 |
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